素材があっての料理。生産者の皆様は、ともにお店をつくっているような大切な存在です。同じ道南の地で上質な食材を育てている皆様も、この地の豊かな「風土」そのものであると考えています。ごく一部ではありますが、そんな生産者の皆様の食材へのこだわりをご紹介します。
「さわやかふぁーむ」の代表・吉田清春さんは、
一貫して、オーガニックの野菜づくりにこだわる生産者。
現在、すべての農場が有機JAS認証を受けており、
あまり見かけない希少な野菜も含め、20品種以上を栽培しています。
たとえば、冬の「ちぢみほうれん草」。
寒気にさらすことで、葉が引き締まり肉厚に。甘さが際立つ食材です。
そして、道南でいち早く栽培をはじめたのは、吉田さんでした。
なぜ、有機野菜にこだわり続けるのでしょうか。
吉田さんは、そんな問いに対して、穏やかに答えてくださいました。
「アレルギーのある子どもが、増えているからです。
私の子どももアレルギーがありますが、
日頃から口にする食べものも、影響を及ぼしていると考えています。
ですから、子どもたちに、安全で安心な野菜を届けたい。
そんな思いで、有機野菜を育てています」。
函館市内各地で開催されている「子ども食堂」や、
七飯町で児童福祉に取り組んでいるNPO法人などにも、食材を提供。
加えて、主婦や子どもたちを対象にした農業体験をはじめ、
食の大切さを伝える活動も積極的に行っています。
吉田さんのやさしい思いによって育てられた野菜は、
今日も明るく、そして豊かに一皿を彩ります。
勉強熱心。探究心にあふれている。それが、関川シェフの人柄だと思います。
私も興味本位から、珍しい野菜の栽培などにも数多く取り組んできましたので、
新しいことに次々と挑戦するシェフの精神には、共感できることがたくさんあります。
農業への深い理解が生み出す料理を通して、
有機野菜のおいしさや魅力も、多くの方々に伝わっていくことを願っています。