素材があっての料理。生産者の皆様は、ともにお店をつくっているような大切な存在です。同じ道南の地で上質な食材を育てている皆様も、この地の豊かな「風土」そのものであると考えています。ごく一部ではありますが、そんな生産者の皆様の食材へのこだわりをご紹介します。
羊たちの堆肥が農園の土にかえり、オーガニックのトマトが実る。
その採れたてのトマトを食べて、羊たちは健やかに育つ。
自然のままの、循環型農法から生まれる羊肉。
それが、せたな町「よしもりまきば」の「トマトひつじ」です。
代表の大口義盛さんは、1999年に3代目として農園を継ぎました。
トマトなどの野菜やお米を有機栽培しながら、
国産サフォーク種を中心に、約60頭の羊を育てています。
「旬のものを羊に与えると、おいしそうに食べるんです。
肉質に影響しているかどうかは、正直わかりません。
ただ単に、羊がよろこんでくれるから、そうしているんです」。
大口さんは、まっすぐにそう答えてくださいました。
夏にトマトを食べるとクールダウンできる、
冬にかぼちゃを食べると体がポカポカあたたまるなど、
旬のものには意味があります。それは、人間も羊も一緒のようです。
循環型農法についても、当初から意識していたわけではなく、
化学肥料や農薬を使わない農業を模索し続ける中で、
自然にたどり着いた方法だと仰います。
そこにある自然に感謝し、謙虚に向き合うこと。
大口さんは、そんな姿勢で農業に取り組んでいます。
自分が大事に育てた羊ですから、誰かを仲介せず、直接お客様にお届けしたい。
そんな思いで新たな販路を探していたとき、いち早く連絡をくれたのが、関川シェフでした。
生産者の思いや、食材のストーリーまで表現してくれる人に出会えて、私はしあわせです。
皆様がシェフの料理をお召し上がりいただくときは、一皿に込められたメッセージも、
ぜひ味わっていただけるとうれしいです。